Q&A

HOME Q&A 記事一覧 麻しん(ましん)が増えていると聞きました。どうして流行しているのでしょうか。どんな時に疑えば良いでしょうか。予防方法はありますか?

2026-04-21

麻しん(ましん)が増えていると聞きました。どうして流行しているのでしょうか。どんな時に疑えば良いでしょうか。予防方法はありますか?

回答

流行の状況

麻しんは、現在、国内外での報告数の増加が報告されています。カナダ、スペイン及びイギリスなどの諸外国では、その流行により麻しんの排除認定が取り消されるほど、感染拡大が懸念されています。

国内でも報告数が増え、3月末で累計197人と、すでに昨年1年間の報告数よりも多く、インドネシア・ニュージーランドからの帰国・入国者による感染の報告が多いです。流行している諸外国に渡航した人が帰国、または外国から日本へ渡航して発症した報告(輸入症例)に加えて、国内で感染したと思われる症例、推定感染地域が不明である報告も増加しており、今後、さらに増加することが懸念されています。

症状

麻しんは、麻しんウイルスによる急性ウイルス感染症です。


麻しんの症状の経過

【潜伏期間】 
 感染から発症まで7~21日(平均10~12日)

【カタル期】 第1~4病日
 感染から約10日後、発熱(38~39℃)、せき、鼻水といった風邪のような症状が現れます。

【発疹出現期】第4~5病日
 2〜3日熱が続いた後、一時的に解熱しますが、すぐに39℃以上の高熱と赤い発疹が出現します。
 発疹は耳の後ろ・顔から始まり、体幹(からだ)・四肢(手足)へと広がります。
 発疹が出る前後に、「コプリック斑」という 頬の内側に白い斑点が2~3日間のみ見られるのが特徴です。

【回復期】 第7~10病日
 合併症がなければ、発症後10日前後で回復に向かいます。
 麻しんウイルスは感染後に既に持っているの免疫記憶細胞を破壊するため、免疫機能の低下が数週間〜数ヶ月続きます(免疫健忘:immune amnesia)。この期間は、他の感染症にかかりやすくなります。

※感染力は、発症の1日前から解熱後3日を経過するまであります。特に、カタル期から発疹出現期の初期にかけて最も強くなります。

★修飾麻疹
ワクチンを1回接種した方等が麻しんに感染した場合、上記の典型的な経過ではない「修飾麻疹」が報告されています。発熱が軽かったり、発疹が淡かったり、コプリック斑が見られないこともあります。症状が軽くても感染力が高い可能性があるため、麻しんが流行している時は「発熱+発疹」があれば麻しんを疑い、医療機関にご相談ください。

合併症

【肺炎】麻しん肺炎、入院することが多く、乳幼児や免疫不全者は重症化しやすいです

【中耳炎】頻度が高い、難聴になることもあります

【脳炎】後遺症として麻痺や知的障害などが残ります。1000人に1人の確立です

【亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis:SSPE)】
麻しんウイルスによるゆっくりと進行する脳の炎症、数年の潜伏期間 (5~10年)の後に発病し、致死的な脳炎です

感染経路

非常に感染力が強い感染症です。

同じ部屋にいるだけでも簡単に人から人に感染します。空気感染等により広い空間でも感染します。また、麻しんの免疫のない人は、感染者と家庭内などの密接な空間にいると約90%が感染すると報告されています。

【感染力の強さ】
●基本再生産数(R₀)= 12〜18 感染者1人から12〜18人に広がることを意味します
●感染方法:空気感染・飛沫感染・接触感染

治療・予防方法

【治療】
現在、麻しんに対する抗ウイルス薬はありません。
治療は症状に合わせた対症療法が中心です。

【予防】
ワクチンによる予防が最善の対策です。

麻しんワクチンは、1回接種で約93〜95%、2回接種で97〜99%の予防効果があります。 麻しんの流行を防ぐには、その地域の集団全体のワクチン接種率を95%以上に維持することが必要です。

●定期接種対象者(1 歳児、小学校入学前1 年間の幼児)は2回の定期接種を受けましょう。特に1歳児は、母親からの移行抗体が消えるため、1歳になったら速やかに接種しましょう。
●過去に2回接種していない方、特に医療・教育関係者、海外渡航を計画している方は、過去に2回の予防接種が済んでいるかご確認いただき、不足分を接種してください。
●過去に麻しんに罹ったことがある人は、ワクチンの追加しての接種は不要です。

年代別(生まれた年月別)のワクチンの考え方は、「こどもとおとなのワクチンサイト」の「年齢でみる不足している可能性があるワクチン(キャッチアップスケジュール)」の「麻しんワクチン」をご参照ください。

受診方法

麻しんかな?と思ったら、医療機関に電話等で麻しんの疑いがあることを伝えて下さい。
感染力が強いため、直接受診する前に必ず連絡して、医療機関の指示に従ってください。
医療機関への移動の際は公共交通機関の利用を可能な限り避けてください。

参考資料

1)厚生労働省 麻しん(はしか)              
       https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/measles/index.html 

2)国立健康危機管理研究機構(JIHS)  発生動向調査
        https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/diseases/measles/graph/index.html 

3)国立健康危機管理研究機構(JIHS)  麻しんについて
  https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ma/measles/index.html 

4)こどもとおとなのワクチンサイト:一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会 感染症委員会ワクチンチーム
  https://www.vaccine4all.jp/

5)Epidemiology and Prevention of Vaccine-Preventable Diseases, Pink Book CDC

タイトルとURLをコピーする

この記事をシェアする

  • x
  • facebook
プライマリ・ケアのための感染症情報サイト